韓国 雪嶽山


雪嶽山  ソクチョ方面

真夏の韓国へ行こうと言う話になって、前から行きたかった雪嶽山(ソラク山)を選びました。韓国で三番目に高い山で、一番美しい山と言われています。ソウルの金浦空港から飛行機が出ているのですが、色んな情勢で一日に一便しか有りません。日本からでは、その便に間に合いません。それで高速バスで行くことになりました。バスの座席は足置きも有って大変ゆったりとしていました。でも、所要時間が4時間も掛ります。途中で一度だけ休憩があって後は走りっぱなしです。

  私のすぐ側に、軽い身障者の人が座りました。最初はバッグなどを持ってあげたり、世話をやく人がいたので、一人旅とは思いませんでした。韓国の人は見ず知らずの人にも親切なのです。彼女は休憩の時にお菓子を買って私たちにまでくれました。お礼を言って頂きました。親子連れの人もいましたが、普通なら騒ぐ年頃の小さな子供もいたのですが、上手にしつけをしているし夫婦で交代して子供をあやしながら乗っていました。感心しました。

  バスがソクチョへ着くちょっと前から雨が降り出しました。ソクチョで夕食を摂ってからホテルへ行く予定でしたが、雨のためにタクシーでホテルへ直行しました。1時間ほどの夕立でした。ホテルのすぐ側にはコンビニや大衆食堂がありました。大衆食堂を覗いてお客さんがたくさん入っている店に入りました。雪嶽山の辺りは汲み出し豆腐が名物だそうです。2種類の豆腐のスープも注文しました。どちらも美味しかった。山菜のナムルも良い味だったので、ホッとしました。キムチが苦手な私は、ちょっとビクビクしながら韓国料理を食べることになります。

ロープウェー  

  「権金城」へ行くロープウェーが大変混むという話なので、翌朝6時半にホテルを出発しました。ロープウェーは、朝の6時半から動いています。雪嶽山は、国立公園になっていて公園に入るのに入場料が要ります。ロープウェーは、チケットを買った時点で自動的に乗る時間が決められています。平日であり朝早かったので空いていました。3年ほど前に夫が行った時のとは違う、新しいものに替わっているようです。

  7分でロープウェーの終点に着きました。その後15分ほど歩くと「権金城」へ着きました。ちょっと見ると登りにくそうですが、足を置くところがコンクリートで固めてあるので、楽に登れます。老若男女だれでも登れます。周りの景色は大変良かった。下の左側のような山々が、雪嶽山を形成する山です。雪嶽山の峰の中で一番高いのは1,708mの「大峰」です。ここへ行くためには本格的な装備が必要です。「権金城」は誰でも手軽に山頂の気分を味わえるピークです。「権金城」の上にみえる旗は、記念品を売っている人が立てているものでした。

雪嶽山   権金城

  景色を眺めていたら韓国の人に声をかけられました。日本人と分かって片言の日本語で話しかけてくれました。彼らは国民学校へ行っていたそうで、解放の時に小学5年生だったと言っていました。焼き物の町、利川(イチョン)から来たそうです。前は韓国のお米が美味しかったけれど、今は日本のお米が一番美味しいと言っていました。これは、夫が通訳してくれて成り立った会話です。ほんの少しの日本語を覚えているようでした。国立公園で禁煙なのに、かまわずにタバコを吸っていました。

ボタンヅル  ナミキソウ

  ロープウェーを降りて今度は、ウルサンバルという岩山に登ることにしました。上の花は公園内に生えていたものです。ボタンヅルとナミキソウです。入り口に新興寺が有ります。平和祈願のためにごく最近作られた大仏を眺めながら木陰の気持ちの良い道を歩きました。途中至る所に韓国のアジュマが早朝から作ったものを売っていました。漢方薬を売っている人もいました。辺りの木陰をなしている木は広葉樹と松が多かった。雪嶽山は紅葉の名所ですが、もみじだけではなく、綺麗に紅葉する色々な木が有りました。それらの木が紅葉する様はさぞ美しいだろうと思われました。

新興寺の門  橋

  1時間ほど歩くと洞窟の中がお寺になっていて売店などもありました。そこから15分ほど歩いたところに立て看板があって、距離と高度が書いてありました。でも、距離ばかりに目を奪われて高度を見落としていました。220メートルの高さを僅か0.8キロで登ることになるのでした。しばらく登り道を歩いていたら、同行のNさんがここで待っていると言いました。そこで3人で登ることにしました。でも待っていて正解でした。そこから少し行った辺りから、梯子が延々と待っていました。

ウルサンバル  梯子  

  登っている人の大半はしんどいようで、みんなフウフウ言っていました。夫もお寺までは前に行ったけれど、そんなに梯子が続くとは思っていなかったのです。でも登った甲斐があってソクチョの町までよく見えました。右側の梯子の写真は、かなり急な梯子の上から撮った写真です。なだらかな部分は鉄の階段ですが、急な部分は鉄の梯子そのものです。

  丁度お昼頃に岩から降りてきました。気温がどんどん上がるし、暑くなってきました。お昼を食べる店を探すと、国立公園内のホテル直営のレストランがありました。お目当ての冷麺は置いていなかったけれど、冷房の涼しさに負けてそこで昼食を摂りました。色々と注文しましたが、結構美味しかった。

ソクチョの海  エイの干物

  ホテルでシャワーを浴びて少しゆっくりしてから、夕食を摂りがてらソクチョまで出かけました。ソクチョの海は大変綺麗でした。至る所に海水浴場があって、大変賑わっていました。ソクチョの辺りは日の出が綺麗な場所だそうです。前に行った江華島は夕日が綺麗なところでした。韓国の西の海岸と東の海岸では、海の水の色が大分違います。東側の方が透き通るように綺麗でした。町の至る所で海産物を売っていました。魚の干物と昆布などの海草やさきイカなどが売られていました。

帰りは飛行機でソウルまで帰りました。空港までの途中、絡山寺(ナクサンサ)と支石墓を見ました。絡山寺は海に突き出た半島の上にあまります。景色の良いところにあって、お寺の駐車場のすぐ側に海水浴場とホテルがありました。観音信仰のお寺です。観音様はまだ新しいものでした。671年に創建されてから幾たびか火災に遭っているからです。境内は大変広くて、松林の中を歩くとリスがいました。雪嶽山で見かけたシマリスとは種類が違うものでした。

ナクサンサの鐘  塔  松林

  韓国の仏像は日本のものとは大分感じが違います。韓国では仏教徒は人口の3分の1だそうですが、熱心な信者をよく見かけました。庭のギボシの花が大変大きくて違う花のようでした。

仏像  ギボシ

  タクシーの運転手が、この辺りで一番景色の良い河趙台(ハジョデ)も見るようにと勝手に連れて行きました。確かに景色は良かった。海の青さと透明さが印象的でした。河崙と趙浚という朝鮮王朝の建国に功績のあった二人が高麗末期に隠遁生活をしていた所で、二人の名前を取って名付けられています。その後探してくれた支石墓は、江華島のものと違って柵で囲われているだけで、後は何もなされていないようで草ぼうぼうでした。韓国の青銅器時代、今から3000年前のお墓です。

ハジョデ  支石墓

  襄陽(ヤンヤン)国際空港は2001年に開港した真新しい空港ですが、国内便が日に2便飛ぶだけで、国際線は毎日は無いようでした。何とも使い勝手の良くない空港です。ソウルまで45分で連れて行ってくれました。そんな短い時間なのに、飲み物のサービスがなされていて慌ただしかった。

  ソウルの町に降りたってその暑さに驚きました。実は10年ぶりの暑さで36.5°も有ったのです。タクシーでホテルへ行ってチェックインを済ませて身軽になって、ホテルボーイに教えて貰った冷麺専門店へ行きました。流行っていたけれど、味はもう一つでした。麺が喉に詰まりそうでした。

一番最初に韓国へ行った時には、国立博物館が移転中で見ることが出来ませんでした。今回も新しい博物館に大部分が運ばれていて、一部しか残っていないという話でした。それで迷ったけれど、暑さを凌げると思って博物館へ行きました。でもその一部というのが、私にとっては結構量が多くて堪能しました。僅か700ウォンでは申し訳ないと思ったほどでした。

  韓国の青磁と白磁が見たくて博物館へ行ったのだから、最初にそこへ直行しようと思いました。ところが順路通りに見ろという人がいたので、その通りにしました。歴史に詳しいNさんに説明して貰いながら見学しました。日本語を勉強中という人が声を掛けてきました。また、小学生ぐらいの子が身振りで何か言おうとしていました。その子のお母さんは日本に留学したことがあるので、お母さんと話をして欲しかったようです。とっても上手な日本語でした。

  博物館が7時まで開いていたので、4時間近く見学してしまいました。疲れてしまって途中で二度ほど休みましたけれど、素晴らしいものがあるのでついつい見てしまいました。一部だけ展示されているここでも見るのが大変なのに、竜山に作られた新しい国立博物館は見学が大変だろうと思います。

  翌日は仁川(インチョン)の町を巡るつもりでしたが、あまりの暑さにホテルでゆっくりして、新村(シンチョン)辺りへ出かけました。美味しい冷麺を食べたいと思ったからです。冷麺の店「加美(カミ)」は、10時開店だったので、時間待ちにチーズケーキが美味しいというすぐ側にある喫茶店「ミゴ」に入りました。梨花女子大のすぐ近くにある店なので、しゃれたお店でした。店内は綺麗にドライフラワーなどで飾られていました。チーズケーキを半分ずつ味見をしてコーヒーを飲みました。

ミゴ  店の絵

  韓国では薄いコーヒーが若い人にはもてはやされているそうです。あまりの薄さに、コーヒーを飲んだ気がしませんでした。濃いコーヒーは、インスタントで砂糖とミルクがいっぱい入っていて、「アジュマ・コーヒー」(おばさんのコーヒー)と軽蔑されるようです。どちらも美味しくありません。

  お目当ての冷麺はとっても美味しかった。昨日の冷麺とは別物でした。私たちは辛くない「ムル・メンミョン」を、夫達は辛い「ビビン・メンミョン」を頼みました。辛そうなのにコチュジャンを足していました。最後に現代百貨店で少しだけ買い物をしました。松茸のように松の木の側で取れる茸を味見しました。松茸のような香りは全然しなかったけれど、とっても美味しかった。松茸と比べて遜色はないと思いました。

  果物などの値段を見て、ブドウやメロンは大変安いけれど、スイカや桃は日本と値段が変わらないと思いました。肉類は色んな種類が売られていて、こういうものを焼き肉にするのだなと思いました。魚も日本のように切り身で売られているものは、本当にごく少量でした。マナガツオ一匹が鯛一匹よりも高いのでびっくりしました。このデパートはロッテ百貨店より食料品の品質がよいとソウルっ子には評判の店です。市場や食料品を売っているところは、生活に直結しているので、見ていてとっても楽しかった。

(2004.08.19  掲載)




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